やっぱりおかしい…土壌汚染地に生鮮市場
築地市場の豊洲移転は中止を
築地市場の豊洲移転が日本を揺るがす大問題になっています。この問題の核心は何か。3つの点から考えてみましょう。
1.豊洲新市場は東京ガスの工場跡地、そもそも市場にしてはいけない場所だった
豊洲新市場予定地は東京ガスの工場跡地です。工場では石炭を高温で熱し、大量のヒ素を使ってガスをつくる中で、発がん性のベンゼンや猛毒のシアン化合物、さらに水銀や六価クロムなど有害物質が発生していました。長年の操業を通じてそれらは土壌や地下水にしみこんでいきました。東京ガス自身も当初は、「豊洲は土壌が汚染され、生鮮食品を扱う市場としては不適切」(小池知事の石原元知事に対する質問状から)と言っていたのです。


元東京ガス社員の証言から
この場所では、コンクリートで囲いをつくり、そのなかに石炭からガスを取り出す過程で出る廃タール(有害物質が含まれる)をためていた。当時は、下にシートを敷く発想はなく、囲いの中にそのまま流し込んでいた。
2.いくら「対策」しても汚染の不安はなくならない
東京都は最先端技術で汚染対策をしたといっていました。しかし実態は「盛り土」がなかったことに象徴されるように、実にいいかげんでした。そもそも、汚染された土壌が残っており、それがどこまで広がっているか、汚染された地下水はどうなっているのか、不明な点がたくさんあり、これからも有害物質が出てくる可能性が常につきまといます。仮に市場を開設した後に汚染がでたら、そのたびに大混乱が予想されます。市場は実験場ではありません。こんな場所に生鮮食品を大量に扱う市場をつくっていいのでしょうか。
▲東日本大震災の時には、豊洲新市場予定地の敷地内で液状化により108箇所で噴砂、噴水が発生しました。液状化で汚染が新たに地中に広がった恐れもあります。
3.将来にわたって、命と健康をおびやかす大問題。今生きる私達がキッパリ決断すべき時です
築地市場は都内に11ヶ所ある中央卸売市場の中でも最大で、とくに魚など水産物の取り扱い量は9割以上。まさに都民の台所です。「豊洲があそこまで出来ているのだから…」という意見もあります。しかし、ことは今だけの問題ではありません。これから生まれてくる将来世代の命と健康をおびやかすことになるのではないでしょうか。
移転は中止し、都民と関係者、専門家の知恵をつくして、最善の解決策をさぐるべきときです。