5月下旬の区政報告会では、社会保険労務士の先生を講師に年金問題の学習会を行った。実務者の立場からの話であったために少々難しく感じた。その後、専門家の論文などをいくつか読んでみたが、制度が複雑、且つ、法律「改正」が繰り返されてきたため理解しきれずにいた。

全日本年金者組合という団体があるが、現在(4/12現在)、全国41都道府県38地裁で4049名の原告団が裁判運動に立ち上がっている。今回は、そこでの国と原告団(「年金者組合」)との主な論争点をみることで、年金問題についての理解を深めていきたい。

以下は、全日本年金者組合のチラシから。

1.保険主義か生活維持優先か。1959年4月、憲法25条の理念に基づき国民年金法が成立。創設時には無拠出で70歳から支給する老齢福祉年金等、国民皆年金に向けた一定の努力があった。しかし、今日、保険料を40年納めても月額65,000円にしかならず、保険料を納められない未納の方も4割超。無年金・低年金という大きな課題を抱えている。

2.基礎的部分の保障か最低生活の保障か。国は「基礎年金は、老後の生活の基礎的部分を保障するものであり、総合的に勘案して一人5万円の金額を考えた」と主張。しかし、国の基礎的部分とは、衣食住+光熱費のみで、高齢者にとって必要不可欠な交通通信費、保険医療費、娯楽費等は含まれていない。また、1985年「改正」によって、40年加入でも満額は月5万円へと、生活保護費よりも大きく下がった。

3.年金財政の収支優先か高齢者の生活優先か。2004年の「改正」で導入されたマクロ経済スライドは、「世代間の公平」という理由を押し出しながら、実態は高齢者の生活を支えるはずの公的年金を減額するための口実に使われている。しかも、マクロ経済スライドは、基礎年金を今後30年に渡って30%近く減らすことになり、低年金者への打撃がより大きくなるという重大な問題を抱えている。

4.「本末転倒」か現実生活の直視か。2012年「改正」=「特例水準」の解消法が制定。特例水準は、家計の苦境、生活費の減少等の解決策を総合的に判断して制定された措置である。当時より高麗者の生活状況が好転したとでも言うのか。まして、マクロ経済スライドを発動するために、「特例水準」の解消が必要との主張は本末転倒である。公的年金の目的は、年金財政の収支を維持するためにあるのではなく、高齢者の生活を維持するためにこそある。

次回に続く…。

 

 

Follow me!

年金削減にストップを!――「マクロ経済スライド」の廃止と、最低保障年金制度の創設を――(1)” に対して4件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください