8月4日~6日、広島で開かれた世界大会に、原水爆禁止中野協議会の代表団団長として参加させていただきました。

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「広島の夏はとても暑い」。いや、涼しい。それどころか、雨にあたって体が冷たくなるほどである。台風の影響で広島滞在の3日間は、ほぼ雨降り状態。8月6日朝の広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式も降り続く雨の中での開催であった。40数年ぶりのことらしい。安倍首相の挨拶は、まったく被爆者・遺族、参列者の胸に響かない。それどころか、昨年の文面を流用したことが判明し、被爆者をはじめ国民の怒りと批判が広がった。式典中に降り注いだ雨は、悲しみのなみだ雨だったのか。

さて、久しぶりの広島の世界大会の参加である。今年の世界大会は、重要な意味を持って開かれた。核兵器の廃絶・禁止の決定的転機にするというものである。来年4月に核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれ、8月は被爆70周年である。そこに向けて、核兵器禁止条約の交渉開始を求める圧倒的な世論と行動を示すことが求められている。前回の2010年NPT再検討会議は、核保有国を含む全会一致で「核兵器のない世界の平和と安全」を実現することを決め、この実現の「枠組み」をつくるための「特別の努力」をすべての国に求めた。しかし、核保有国が「核抑止力」論に固執し、核兵器禁止条約の議論さえ拒否する態度をとり続けていることが障害となっている。この間、核保有国に対して、合意の実行を迫る数々の努力が行われてきた。国連は、昨年9月に史上初めて核軍縮をテーマに、ハイレベル会合を開いた。この会合を受けて12月に提案され採択した決議には、137か国が賛成。圧倒的多数の国が核兵器禁止条約の交渉開始を支持しているのである。いま、国連や圧倒的多数の国々が、「核兵器の人道的影響」に焦点をあてている。「核兵器が存在する限り、意図的であれ事故であれ、核爆発が起こるリスクがある。核爆発が起これば、どの国家や国際機関もそれに対応することができない。人類が絶滅される前に、核兵器を廃絶するしかない」との考えが、国際機関や世界の国々での積極的な動きの背景にある。そのことは、世界大会での外国からの政府関係者や団体代表からの発言でも伝わった。

今年の世界大会はもう一つ重要な意味があった。世界の流れに逆行する安倍政権の憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認、「戦争する国づくり」をストップさせ、憲法9条と非核三原則に則った平和外交へと、たたかいを大きく発展させることである。広島・長崎の体験から非核三原則を国是とし、侵略戦争の反省から憲法9条で戦争放棄を定めた日本こそ、核兵器廃絶と世界平和のために率先して貢献すべきである。しかし、安倍政権は、国民の平和の願いに逆らって、国際政治では核保有国の立場を擁護し、国内では「戦争する国づくり」に暴走している。

開会総会で挨拶に立った被団協代表委員の坪井直さんは89歳。現在も毎日、癌と再生不良貧血の体をおして事務所に通っているという。「核兵器廃絶、禁止条約が成立するまでは死にたくない」。集団的自衛権行使容認の動きにも触れて、政府は「何をやっているのか。戦争で国民を守ったことは一度もない」と声をふるわせた。被爆者の強い願いを会場全体で感じた瞬間だった。

分科会は、「核廃絶の平和運動と国民のくらし」をテーマとした、二宮厚美先生を助言者に憲法9条と25条の関係を中心に学び、交流した。二宮先生は、平和と福祉は双子の兄妹関係だという。平和(兄)が福祉(妹)を支える関係(9条の力で25条を発展させる)と、福祉(妹)が平和(兄)を支える関係(25条の力で9条の世界を守る)。この相互関係をしっかり掴むことの大切さを強調された。貧困層の増大のなかで、「平和に目を向ける“ゆとり”のない人がたくさんいる」現実を直視し、平和と福祉の運動をそれぞれがんばると同時に、統一発展させていく必要があることを痛感させられた。

いま、核兵器の廃絶をめぐる世界の動きには、共通のメッセージがあるといわれている。それは核兵器のない世界をつくる上で市民社会や草の根の運動が果たす役割の問題。核兵器のない世界の実現は、70億人に達した地球市民の一人ひとりの命と未来にかかる問題であるとされる。私たおちは、地球市民として、そしてただ一つ、実際に原爆が使われた国の市民として、核兵器は人類の生存と相容れないとの被爆者の声を支え、ともに広めていこうというもの。

閉会総会の舞台では、「核兵器全面禁止のアピール」署名数4,104,911が横断幕に掲げられ紹介された。来年のNPT再検討会議に向けて更に大きく広げていかなければならない。アピール署名のとりくみ強化を誓った。

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