(1)コロナ禍から見えてきた政治と行政の役割について
〇新型コロナウイルス感染症「第6波」に備えた対策が求められています。
 今月16日の危機管理・感染症対策調査特別委員会で「新型コロナウイルス感染症に係る今後の医療機関への支援の考え方について」の報告がありました。感染拡大に備え、医療機関が新型コロナウイルス感染症患者の病床を追加で確保した場合、東京都の病床確保補助金に上乗せして、区の補助金を支給するというものです。医療機関において、これまで最大確保した一日当たりの病床数を超えて増床することや、医療ひっ迫の状況レベル3相当であるなどの要件を満たす必要はありますが、大切な取り組みです。また、区として一定の条件のもと、在宅療養中の方を対象にワクチン接種の実施が行われています。こちらも大事な取り組みではありますが、これまで医療機関任せとなっていたことで対応が遅いようにも感じています。
今後、3回目のワクチン接種についても集団接種場所が中野サンプラザだけとなることで個別接種を行う医療機関に負担がかかることになります。感染症拡大は、感染症患者受け入れの有無にかかわらず区内医療機関での診療や経営に少なくない影響を及ぼしました。
新型コロナウイルス感染症については、現在、感染拡大が減少しているこの時期に、区のこれまでの保健医療分野の対応について、検証しておく必要があるのではないですか、うかがいます。

区:第5波における感染者への対応、保健所業務の人員体制、医療体制などについては、現在検証を行っており、定例会中の委員会において報告を予定している。
 これを元に、更なる新規陽性者の発生状況に応じた応援体制や医療体制を検討し、感染された方の健康状態を早期に把握し、適切に対応できるよう、時機にかなった体制を築いていく。

○東京都は、2018年3月に策定した保健医療計画について、今年7月に「中間見直し」を行いました。計画策定時には出現していなかった「新型コロナウイルス感染症を踏まえた感染症対策」を見直しの視点として掲げ、「主な見直し内容」では「第4章健康危機管理体制の充実 ・新型コロナウイルス感染症対策における取組を検証し、検査・医療提供体制を整備」との記載があります。しかし、新型コロナウイルス感染症の1年半に及ぶ実態、地域医療に及ぼした影響などの記述は見当たらず、都民・区民、そして地域医療にとって、焦眉の課題である新型コロナウイルス感染症への対応・対策について十分とは言えません。地域保健医療計画は2023年度までであり、今後2年間の地域医療において十分な対策に言及しないのでは、命と健康に責任を持った「計画」とは言い難いと思います。
感染症拡大のもとで区内医療機関での病床の維持・確保と体制強化が切実に求められていることが明らかになりました。
中野区では、今後、地域医療機関の誘致を進める際に、その医療提供の規模と機能に係る第8次東京都保健医療計画の改定を踏まえて検討することになると思われますが、同計画についてどのようにとらえているのか、見解をうかがいます。

区:公表された東京都保健医療計画での中間見直しでは、感染症医療体制の強化等について記載されており、感染症の脅威への対応の必要性が明示されているものと考えている。令和6年度に予定されている同計画の改定においては、新興感染症等の感染拡大時における医療について、追記される予定であることから、区としては、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の教訓を踏まえて、今後の地域医療のあり方が示されるものと捉えている。

(介護・福祉)
〇コロナ禍で深刻な事態に直面しているのが介護分野です。
「介護の社会化」を理念に介護保険制度が始まって22年目を迎えていますが、この間は給付抑制の連続でした。介護保険料と給付費が直接結びつく仕組みのため、介護保険施設や高齢者のサービスの利用が増え、介護報酬を引き上げると介護費用が増大し介護保険料の引き上げにつながります。介護報酬の引き上げは、利用者負担の増大にも跳ね返ります。また、予防重視が標榜されるもとで、介護保険法は改正を繰り返してもきました。介護報酬改定で言えば、報酬引き下げが続けられて介護現場で働く介護職員の賃金の抑制をもたらしています。当然の帰結として、介護現場の深刻な人手不足を加速し、労働を過酷なものとし、介護職員を疲弊させ働き続けることを困難にしている状況であり、そこにコロナ感染症が襲いました。
 人手不足が深刻なのは、在宅介護の要であるホームヘルパーです。高齢化が進む一方、若手のヘルパーのなり手がいません。厚生労働省集計によると、ヘルパーの有効求人倍率は2019年の平均で全産業平均の約15倍と異常な水準に達しています。このままでは10年もたたないうちに、ヘルパーは枯渇していく可能性があります。
 介護報酬の引き上げは必須です。しかし、介護報酬改定は3年ごとのために待たなければなりません。制度の枠外により介護職員の処遇改善を図ることが必要と考えます。
 以下、3点についてうかがいます。
① 中野区の高齢者介護の実態についての認識について ②課題解消のための国へ
の働きかけについて ③区としては、介護保険制度内だけでなく介護職員の処遇改善に取り組むことを検討していただきたい。答弁を求めます。

区:①介護サービス利用の増加傾向は今後も続くものと想定しており、介護人材の確保は、介護保険制度の円滑な運営に欠かせないものの一つと捉えている。②国に対しては、特別区長会からの要望として、介護人材の確保・定着及び育成に関する継続的な施策の実施を求めている。③介護事情社の給与引き上げなどの処遇改善に対する直接的な取組については、区として考えていないが、引き続き、介護福祉士受験費用や研修受講費用の助成などによる介護従事者の定着支援、介護の魅力発信、介護に関する入門的研修の実施などによる介護人材の確保に努めていきたい。

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