〇「財政的な非常事態」の認識について、うかがいます。
区長は2020年第3回定例会の行政報告で「財政的な非常事態と言わざるを得ないと認識して(いる)」と述べられました。先の区議会で、区としては「今も財政的な非常事態」であるとの認識が示されたところです。旧区政時代には「想定を超えた収支不均衡」、今日では「これまでのような財政規模を維持できない」と、行政需要の増大に比して収入見通しが明るくなく、財政調整基金の取り崩しによって財政運営を成り立たせていることがそのような認識へと導いているようです。
昨年からの財政状況については、新型コロナウイルス感染症の拡大があり、それゆえに新規・拡充事業の中止・延期をはじめ、事業によっては執行見直しが行われてきました。同時に、感染拡大防止の対策を講じてもきました。しかし、昨年度決算では我が会派としても指摘をしたところですが、中野区がコロナ対策に区独自の財政支出した額は、他区と比べても少額です。「財政的な非常事態」との認識が、本来、財政出動を図るべき事業に対して踏み出すことができず、過剰な執行統制となってしまったのではないでしょうか。今後、中野区に限らず、都内だけでも多くの自治体で保有する施設の改築・改修が迫られます。どこでも増大する行政需要から見て、財政状況は必ずしも余裕があるとは言えません。だからと言って、他の自治体が非常事態に言及しているわけではありません。  
問題は、「財政的な非常事態」という認識は、誤ったメッセージの発信として受け取られかねず、そのことが区民要求と区民施策の維持向上を抑制し、区民サービスの削減と過剰な執行統制にならないかということです。見解をうかがいます。

区:令和3年度予算編成にあたり、先が見通せない状況であり、また、一般財源の減収を想定せざるを得なかったことから、危機意識を持って予算編成を進める観点から、財政上の非常事態との認識に至ったものである。
 令和4年度予算編成を進めている現在においては、一般財政の収入状況は想定よりも上振れの状況にあるが、新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せない中、区財政の今後も不透明な状況であり、引き続き緊張感を持って財政運営を行っていく必要があると考えている。
 一方で、必要な事業、必要な区民サービスには財源を投入していく考えであり、区民ニーズをしっかり把握し、適時適切な予算措置を行っていく。

〇予算編成について、うかがいます。
 2022年度予算の編成にあたっては、今年度予算額に△5%シーリングをかけることにしています。来年度は、特別区税については納税義務者数の増が見込まれており、予算編成においては今年度以上の増収になると思われます。都区財政調整交付金についても法人住民税の伸びにより、今年度当初予算額を上回る金額となるでしょう。にもかかわらず、なにゆえに5%削減を各部に要請しているのでしょうか。理由をお聞きします。
また、今年度の予算においては基準となる一般財源規模を687億円に定めましたが、2022(令和4)年度についてはいくらに設定されようとしているのか。2点、うかがいます。

区:①来年度予算編成開始時点において、その時点で想定した歳入と歳出の見通しでは、来年度においても歳出超過の状況が見込まれたところである。
 このため、経常経費について、今年度予算ベースに算定した基準額から5%削減の目標を掲げ、歳出抑制に取り組んでいるところである。
 ②令和4年度の一般財源は、現時点においては、今年度予算より増が見込まれるところではあるが、今後の経済状況は先行き不透明な状況もあることから、令和4年度予算編成における基準となる一般財源規模は、今年度予算編成と同様、687億円と設定している。

〇都区財政調整交付金についても、うかがいます。
 都区の合意では、2022年度に2021年度決算状況を踏まえての配分に係る都区の協議がおこなわれることになります。児童相談所の運営等に係る経費をめぐって焦点となっていますが、それだけではないと考えます。特別区の財政需要は年々増え続けています。今年度の協議にあたっては、基準財政需要額にそのことも踏まえた対応と算定をさせることが必要であることはもちろんですが、配分割合の変更がないままでは、他の事業の見直し・廃止を行うことにもなり、財政調整交付金の額に変動はありません。都区配分割合の協議は来年度に行われる予定ではありますが、今年度の都区協議の場から積極的に主張することを求めます。お答えください。

区:今年度においては、決算状況等を踏まえ、各事業の算定内容の見直しを中心ン位協議が行われる予定であり、区側提案の実現に向けて、特別区一丸となって協議に臨む考えである。
 配分割合の変更については、令和4年度の協議事項として都と合意がされており、令和3年度の都区協議で具体的な議題とすることは難しいと考えているが、来年度の協議における、区側の考えに沿った形での配分割合の変更の実現に向けて、区長会において、理論構築を進めているところである。

〇国への働きかけも重要です。
特別区長会は、10月に「不合理な税制改正等に対する特別区の主張」を公表しました。国による法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、加えてふるさと納税による減収による影響は深刻です。中野区においても昨年度には46億円にものぼる減収の影響を受けています。
本来、国は、財源保障と財政調整のために地方交付税の拡充を図らなければなりません。それを特別区から財源を奪うことで補完しているのです。
不合理な税制改正の是正と、地方税財源総体の拡充を実現するために、特別区長会が一致協力して臨むことが重要です。見解をうかがいます。

区:不合理な税制改正により、区の貴重な財源は奪われ続けている状況にある。
本来、地方財源の不足や地域間の税収等の格差については、国の責任において措置すべきものであり、地方税を国税化して再配分する手法などは、地方税の本旨を無視したものである。地歩言うに負担転嫁されることがないように、引き続き、都都区が一丸となり、議会とも連携して、国に対して改善を強く求めていきたい。

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