2.2018(平成30)年度予算原案について
(1)基金と中野駅周辺まちづくりについて
○来年度予算原案では、中野駅周辺まちづくり費として今年度より5億6千万円増の24億円が計上されています。来年度の中野駅周辺まちづくり事業には、特定財源は国と東京都の補助金だけでなく、まちづくり基金からの繰入金5億7千万円が投入されることになっています。積立金で言えば、来年度はまちづくり基金に年度当初から約11億円が積立てられようとしています。さらに剰余金が出れば上積みが図られることになるでしょう。
 私どもは、中野区が開発事業、とりわけ、この中野駅周辺の大型開発事業に偏重した予算計上と執行体制をとっていることを、再三、指摘してきました。毎年、予算審査の際に配付される「当初予算(案)の概要 財政運営の考え方」では、そのたびに財政フレームの数字は変わっています。また、5年先までしか示していないため総額は明らかにされていません。
一体、中野駅周辺まちづくり全体の事業費はいくらになるのか。うかがいます。

○中野駅新北口駅前エリアについて、うかがいます。
区は、区役所とサンプラザを壊してその跡地の活用で、新区役所等の財源に充てることにしています。現在、跡地からどのように財源を生み出すかを検討しているといいます。
豊島区では、旧区役所敷地と公会堂敷地に定期借地権を設定し民間事業者に貸付をおこないました。施設運用を70年とし、借地期間は76年6か月。一括前払い地代として191億円を得て、新庁舎整備費の財源としました。当時の担当者は、定期借地とした理由を、「役所庁舎の跡地を売却した例はない。売却では区民の賛同を得にくい」からと回想しています。定期借地なら良いというわけではありませんが、区役所庁舎の跡地の扱いは大変重いものであることを窺い知ることができました。いずれにしても区民の財産である区役所とサンプラザの跡地の放出に対して区民合意はありません。
 市街地再開発によるビルは、事業協力者の提案によりますと、高さ200mを超える高層ビルになると思われます。現在の地価高騰のもとでの考えであるとは思いますが、専門家からは今後、人口減少が続く中で都心部を中心にあちこちで超高層ビルが乱立し、供給過剰を招く恐れも指摘されています。過剰供給による不動産市場の崩壊は、長期にわたる不況に強く影響します。アリーナ施設については、区民を対象としたものではなく興行を目的とした整備であって、なにゆえに1万人の収容規模が必要であるかについて疑問視する声は多数です。こちらについても区民の合意があるとは思えません。
このまま進めて行くことは問題です。見解をうかがいます。

○積立金の内容でもう1点、うかがいます。
 来年度は、年度当初から義務教育施設整備基金積立に56億円を計上しています。
区は、2012(平成24)年度からは当初予算から10億円を積立てることを方針としてきました。それ以外にも廃校となった学校跡地の売却や、補正予算で前年度の剰余金の一部を積立てる場合もありました。結果、今では200億円を超える基金残高です。来年度は、なぜこれまで同様の10億円でなく、56億円もの金額を積立てるのでしょうか。年度当初からこれだけの金額を積まなくても積立てていくことは可能なはずです。区民の福祉・教育・子育てなど、施策・事業の充実への区民要求は極めて高いものがあります。応えていく必要があったのではないですか。義務教育施設整備基金積立金に限らず、他の特定目的基金も、財政調整基金も計画があってないようなものです。貯め続けることだけが際立っているといえます。改めるべきです。
見解をうかがいます。
 
(2)区民施策の拡充について
来年度予算原案では 保育士確保や幼稚園教諭新規採用への支援、重症心身障害児施設の医療的ケア実施支援など、区民施策の拡充が図られていることは多としたいと思います。その上で、さらなる施策の拡充を求めます。

○1点目に、学校給食無償化についてです。
 公立小・中学校の給食食材費の保護者負担を全額補助して無償にする市町村が全国で83自治体に広がっています。保護者が負担する給食費の平均月額は小学校で約
4300円、中学校で約4900円と、無償化によって年間5万円程度の負担軽減になります。2015年度に15自治体、2016年度に14自治体、そして今年度に20自治体で無償化が始まるなど、ここ数年で増加しています。無償化の理由として、子育て支援や定住しやすい環境づくりに加え、給食を教育の一環としてとらえる食育の推進をあげる自治体が増えているのも特徴です。
日本共産党議員団が昨秋に取り組んだ中野区政アンケートでは、1500通を超える区民からの回答があり、「学校・教育について」の問いに対し、「体罰やいじめ対策の強化」に続いて「給食の無償化」の実施要望が多く寄せられました。
無償化の自治体の広がりを受けて、今年度、文部科学省は初めて全国的な実施調査を行いました。無償化を実施している自治体については制度の枠組み、実施校数と予算額、実現に至った経緯、課題などを調査するとしています。調査結果はまだ発表されていませんが、今後だされる調査結果もふまえ、区としても無償化に向けた検討を行ってはいかがですか。うかがいます。
 
○高齢者施策についても拡充を求めます。
中野区では75歳以上の後期高齢者の方を対象に入院時負担軽減支援金の事業をおこなっています。中野区から保険証の交付を受けている方で、世帯全員が住民税非課税の方を対象に病院等に年度内合計31日以上入院された場合に、申請により2万円を支給しています。2008(平成20)年度の後期高齢者医療制度の実施にあたり高齢者への負担増が心配されていました。本事業が制度導入を契機に実施されてきたことは高く評価します。区内の高齢者人口の増加に伴い、後期高齢者の入院時負担軽減支援金の給付件数は、平成22年度に118件であったのが平成28年度は250件と約2倍に増えています。
後期高齢者医療制度が開始されて10年が経ちました。低所得層への軽減策が図られているとはいえ、保険料が2年に一度の改定のたびに上がり、窓口での負担も増えているのが実状です。支援金の増額を検討してはどうでしょうか。うかがいます。

○障害者施策の拡充についても1点うかがいます。
 2015年の第4回定例会にて精神障害者への福祉手当を求める陳情が議会では全会派一致で採択されました。我が会派は、その後の議会で検討状況を質し、予算計上を求めてきたところです。「引き続き検討してまいる」と述べて、陳情採択後2年間も放置していることは許されません。「一律的な現金給付が障害者福祉の向上に効果的であるとは考えていない」と、障害者福祉手当そのものを否定的に捉えている節がありますが、障害者給付の充足の点からも、障害者の暮らしの実態からも必要性は高まっています。
 精神障害者への福祉手当を実施すべきではないですか。うかがいます。
 
○区民施策拡充についての終わりに国民健康保険制度について、うかがいます。
新年度より国民健康保険制度の仕組みが変わります。東京都から「平成30年度国民健康保険事業費納付金・標準保険料率」が示され、それを基に中野区の保険料率の考え方が議会に報告されました。
 東京都が算定した平成30年度標準保険料率と平成29年度の保険料率には乖離があるため、保険料が急激に増加しないよう激変緩和措置を講じることにしています。
 国保事業費納付金の9%相当額を控除し、その後 この割合を段階的に引き下げていくことにしています。標準保険料の算定は、直近の収納率85.13%で割り戻していますが、96%で割戻し、その後、保険料収納率の向上を図りながら、割り戻す収納率を実績値に近づけていくとしています。その上で、目標とする収納率に近づくには相当期間を要するために、激変緩和期間は9年間とし、段階的に法定外繰入金を削減するとともに、割り戻す収納率を目標とする収納率に近づけていくというものです。
 そこでうかがいます。
1点目に、今でさえ生活の厳しさ故に保険料を滞納している方がいます。保険料の値上げによりいっそう滞納世帯が増えることが想定されます。その際、収納率向上の名による行政権力の発動により、生活費用まで差押えるなど、暮らしと人権の侵害を引き起こしかねないことが懸念されます。そうならないと言えますか。
2点目に、激変緩和措置と言いますが、保険料は毎年あがり続けていくことが前提になっています。国民皆保険制度のもとで、74歳までの区民は、被用者保険加入以外はすべて国民健康保険に加入せざるを得ません。法定外繰入金の解消を既定路線とすることなく、消費不況による暮らしの実態からも保険料の引き下げを含めた対応が必要であると考えますがいかがですか。うかがいます。
 
○今回の国保制度改革に伴い東京都独自の財政支援が示されています。①保険料の急激な増加を国の財政支援ではカバーしきれないこと ②制度改革に伴う新たな制度への円滑な移行を図る必要があること ③都も区市町村とともに保険者になることを理由に、6年間で合計79億円の負担、平成30年度は14億円の財政支援をおこなうことにしています。東京都が財政支援に踏み切ったことは評価できますが、被保険者約350万人で割ると1人あたり400円程度の負担軽減にしかなりません。保険者としてはいっそうの財政負担が必要であると考えます。
東京都にさらなる財政支援を求めるべきではないですか。うかがいます。

○国保制度の最後に、多子世帯の子どもの均等割減免についてお聞きします。
 サラリーマンなどが加入する被用者保険は、子どもの人数が増えても保険料は変わりませんが、区市町村国保は、世帯内の加入者数に応じて賦課される均等割があるため、「子育て支援に逆行する」との指摘があります。都議会は昨年3月30日付で「子供に係る均等割保険料(税)の負担を軽減すること」を国に求めています。また、全国知事会も「子育て支援の観点からの子どもに係る保険料(均等割)の軽減」を要請しています。
 そこでうかがいますが、多子世帯の均等割の軽減が必要であるとの認識はありますか。また、区として他自治体の例を参考に均等割減免の実施の検討をすべきではないですか。答弁を求めます。

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