<議事録より抜粋>

高齢者施策について

地域包括支援センターについて

 次に、高齢者施策について。初めに地域包括支援センターについて伺います。
 区長は、すこやか福祉センターの機能の強化について言及され、8カ所整備の考え方については再検討することを述べられました。
 先般、地域包括支援センターについては、区が整備しようとしている8カ所のすこやか福祉センターに併設する考えであることが報告されていました。超高齢化が進む中で、地域包括支援センターが区内8カ所で足りるのかという議論があります。同時に、現在は全ての地域包括支援センターが委託業者により運営されています。2006年の介護保険制度改正によって地域包括支援センターの設置が義務付けられましたが、現在の8カ所以外で、当初のように区直営の基幹型地域包括支援センターの設置が必要ではないでしょうか。伺います。

「地域共生社会」について

 次に、「地域共生社会」について伺います。
 厚生労働省に設置された「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」が言うところの「地域共生社会」とはいかなるものでしょうか。「地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会」としています。理念的に同意できる部分はあります。しかし、国や自治体の責任をあいまいにし、地域住民に地域生活課題解決の責任を丸ごと丸投げするように受け取れもします。
 シドニー・ウェッブが著した『防貧策』は、社会福祉領域における公私関係論を論じた歴史的著作と言われています。同書においてウェッブは、「新たな支援方法を常に追求し、困難な事例に対しても愛情に溢れたケアを心がけ、民間部門が、公的機関だけによって実施される比較的低水準のサービスを上回るサービスを実践・実施することで、結果的に公的サービスにおける健康で文化的な水準を押し上げる効果がある」と指摘しています。これを「繰り出し梯子理論」といいますが、ここには現代に通じる示唆があると考えます。地域における住民協働の運動・実践が、公的サービスを上回る内容を有することがしばしばあります。この住民協働の運動・実践が、私的サービスを公的サービスに昇華させる流れが、あたかも繰り出し梯子が伸びるように見えることから、そう命名されました。
 例えば、介護保険における訪問介護事業は、1956年に長野県で制定された「家庭養護婦派遣事業」を端緒として自治体に広がり、1963年に老人福祉法に「老人家庭奉仕事業」として法定され、介護保険法では8条2項に明記されました。保育運動においても同様の状況がありました。
 現在、政府が言う「地域共生社会」は、社会保障などの公的サービスを縮小したところに、その代替として地域住民に地域解決責任を負わせるものであり、住民協働の運動・実践とは全く異なるものです。確実に超高齢化社会が到来するもとで、国の責任とともに、特に影響の大きい高齢者分野における住民協働の社会の実現に向けた区の公的責任の発揮、専門性に裏付けられた支援が欠かせないと考えますが、見解を求めます。

<答弁、議事録より抜粋>

〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進室長(野村建樹) 私からは、高齢者施策についてお答えをいたします。
 まず、基幹型地域包括支援センターについての御質問でございました。基幹型地域包括支援センターの役割は、各センター間の調整やケース対応への後方支援等を通じまして、相互に連携し、効果的な取り組みを実現するところにございます。
 現在、区ではすこやか福祉センターが基幹型の役割としてセンター間の相互調整や後方支援、他機関との連携支援を行っております。また、本庁におきましては、認知症の初期集中支援や在宅療養相談における医療介護連携支援、また虐待対応等の権利擁護業務を行ってございます。今後ますます地域包括支援センターの充実が求められており、基幹型機能を含めまして、すこやか福祉センターの強化について検討してまいりたいというふうに考えでございます。
 続きまして、地域共生社会における公的責任という御質問でございました。中野区におきましては、だれもがその人らしく、住みなれた地域で暮らし続けられるように、区は地域包括ケアシステムの推進に取り組んでいるところでございます。この中におきまして、公的責任はセーフティネットとして支援が必要な区民を一人も取りこぼさず、サービス等の支援につなげること、虐待等を防止し、権利を擁護すること、また必要なサービス基盤を整備するとともに、その質の維持、向上を図ることのほか、住環境ですとか、就労など、全庁的な取り組みによってハード、ソフトの支え合いのまちづくりを進めることにあるというふうに存じております。

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