4.保育園について

○11月19日に発行された雑誌「アエラ」に、保育士の給料に焦点をあてた記事が載っています。記事では、「良い保育士がいることが良い保育園の条件」とし、「しかし、保育士の給与は安く、人材不足が常態化している。政府や地方自治体は保育士の給与をあげるための補助金を出しており、何も対策をしていないわけではないのだが、保育士の給与は低い水準にとどまっている」と述べています。低賃金・長時間労働などで辞めていく保育士は後を絶ちません。記事では「委託費の弾力運用」と呼ばれる制度が大きく影響していると指摘。私立の認可保育所には、区市町村を通じて「委託費」として運営費用が支払われています。公立と社会福祉法人しか設置が認められていなかった認可保育所は、設置者の規制緩和が行われました。ただ、人件費8割を占めるもとでは営利企業にとって利益を出しづらく、2000年の国の通知によって、株式会社の参入と同時に委託費の使途が大幅に規制緩和されました。東京都は今年度から、新卒、3年目、7年目などのモデル賃金の公開を、ホームページなどを通じて求めています。また、2015年度から保育士等キャリアアップ補助金を行っていますが、補助金を受けている保育所に対して、人件費率や金額などを明記した財務諸表の提出を義務づけています。記事では、23区にある私立認可保育所254か所の保育士の人件費比率は、社会福祉法人の平均と比べて株式会社は低いことが示されています。また、東京都の集計結果から株式会社は収入の約2割を事業活動以外に流用していることが指摘されています。
 このアエラの記事で掲載された複数の株式会社は、中野区において認可保育園を運営している事業者でもあります。保育の実施主体である中野区として実態を把握することが求められます。保育士をはじめ職員が働き続けられる人件費などの職場環境が保育環境の向上、保育の質の確保につながると考えます。見解を求めます。

○区立仲町保育園の民営化について、うかがいます。
当初、区は民営化する根拠として、待機児童解消のため2020(平成32)年4月に、U18プラザ中央跡地に新園を開設しなければならないとしてきました。募集を一度中断した後に再開したところ、2事業者が手をあげてきましたが、選定要件を満たさず再募集を行っていくことが、子ども文教委員会で報告されました。再募集を実施することにより開設は同年12月にずれ込むことになり、区が当初示した根拠は崩れています。保護者の多くが民営化に不安を抱いており、今も区立保育園としての存続を願っていると聞きます。
 株式会社など民間事業者のところでは先に触れたような実態があるなかで、区立の保育士の募集状況はどうでしょう。区はこの秋に保育士の募集をおこないました。募集定員5名に対して120名の応募者があったと聞いています。保育士として安定した職場環境を求めていることは明らかです。
区立での建て替えは国と都の補助金が出ないために困難だといいます。そもそも、なぜ区立園の建て替えを阻害しているかと言えば、国が民営化を促進し、しかも規制緩和によって株式会社にまで保育所運営ができるようにしました。そのために公立保育園の整備には補助金を出さないという不当な措置が行われています。このこと自体は正されなければなりません。
 そこでうかがいます。区立保育園での建替えを検討すべきではないですか。条件によっては、改修・補修など手を施しながら、退職者分を補充する保育士を再度募集していく。区が採用する保育士であればすぐに応募してくるでしょうし、現在の区立保育園として暫く運営することは可能です。再募集により保護者・区民の不安を助長させることなく実施できると考えます。見解をうかがいます。

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