ジェンダーギャップ

 昨年の暮れに発表された世界経済フォーラム(WEF)のジェンダーギャップ指数で、日本は調査対象153か国のうち121位と前年の110位から順位を落とし、過去最低となった。日本は特に政治が144位と、女性の政治参画の遅れが響き、先進国では最低水準となっている。WEFが世界全体では女性の政治参画が著しく拡大したと評価するなかで、国会議員に占める女性の割合が日本は約10%と世界で最低水準となっている。経済も依然低い水準にとどまり、女性の管理職やリーダーの少なさ、低収入が響いている。

中野区の管理職と審議会委員等の男女比


中野区職員の男女比は、2019 年度までの5年間、女性職員は51.7%から50.0%と、男女比はほほ同じである。
管理職の女性割合はというと、2015 年度は22.1%。毎年度、女性の比率があがって、2019 年度は27.1%に。また、管理職ではないが係長級では2019 年度は51.7%と若干男性よりも高い。近い将来に管理職への登用も期待でき、女性管理職の比率がさらに向上するかもしれない。
審議会等の付属機関での女性割合は、2019 年度における審議会等の会議体79全体で女性の参画率は46.5%。女性の割合が4割以上の会議体の割合でも60.0%と評価に値する。ただし、女性委員がゼロの会議体が5つあることは課題を残している。 
これまで管理職や区審議会等の委員における女性割合をあげていく上で、どのような努力を行ってきたのか。さらに女性割合の比率を高めていくためにはどのような方策が必要か。

管理職の女性割合を高めていくことについては、特定事業主行動計画に目標値を定め、女性職員のキャリア形成を支援する研修や自主勉強会などの取り組みを行ってきた。さらに比率を高めていくためには、出産や育児、介護などと管理職への昇任とのタイミングやそれらの両立など、職員一人ひとりの人生設計に合わせてキャリアデザインを描くことができるように支援するとともに、家事や育児をしながら働きやすい環境の整備が必要と考える。
男女平等基本条例で、付属機関等の構成員の性別に偏りが生じないように積極的に努める旨を規定している。毎年度、審議会等における女性の参画状況を実施し、男女が等しく区の施策の策定及び実施の過程に参画する機会の確保を図ってきた。女性割合をさらに高めていくためには、委員構成の一定割合を占める関係団体からの委員推薦についても割合を高めていくため、ジェンダー平等に関する理解を求めていきたい。

女性・婦人相談


中野区では、婦人相談員及び女性相談員を配置し、女性の様々な問題や悩みの相談を受け、その解決のための助言・指導を行っている。2018 年度は863件とここ数年ではたいへん多い件数結果となった。近年の相談傾向については、「夫婦間のDVや親族間のDVに係る相談が多い」という。
では、性暴力・性被害等に関する相談状況についてはどうか。性暴力被害にあっても、誰にもどこにも相談できない被害者は6割にのぼるとの調査結果がある。心身への負担は長期に及び深刻だとも言われている。性暴力や性被害の相談はどこで行っているのか。

福祉推進課の犯罪被害者等相談支援窓口や生活援護課の婦人相談員への窓口があり、必要に応じて連携している。


被害にあったときに、すぐにアクセスでき、身体的精神的ケアをうけられることは被害回復にとって極めて重要。医療や証拠保全を同時におこなうことができる医療拠点型、24時間365日のワンストップ支援センターが必要と言われている。
東京都では、SARC東京により24時間365日のワンストップ支援に取り組んでいる。都との連携はどのように行っているのか。また、医療拠点や医療連携はどうしているのか。

区は、一人ひとりの相談内容に応じて、直接医療機関に繋いだり、警察、女性相談センター等の関係機関と連携して対応を図っている。現在、性被害により緊急に医療機関に繋げなければならない相談はないが、仮にあった場合には、必要に応じ区内医療機関や性暴力救援センター・東京(SARC東京)に繋げるなどの対応を図ることとしている。また、区ホームページでもSARC東京の紹介を考えている。

ハラスメント防止対策について

 昨年6月に、「仕事の世界における暴力とハラスメント撤廃条約」が国連の国際労働機関(ILO)で採択された。世界的なセクハラ告発のうねり、#MeToo運動などが背景にあったと考えられる。
 保護の対象をアルバイトやインターン、求職中の人や採用試験を受ける学生、ボランティア、雇用契約の切れた人まで幅広く「働く人」と定義。出張先や移動中、通勤中、飲み会など交流の場、社内メールやラインなど仕事と関連のコミュニケーション全般にわたるもの。
 一方、現在日本では法律に禁止規定がないため、「ハラスメントをしてはならない」というルールが社会で共有されず、「ハラスメントは行為者が悪い」という規範ができない。日本では被害者責任や被害者バッシングが強いのでより必要だといわれている。日本でのハラスメントを禁止する法律と条約の批准が求められている。

地方自治体にも男女雇用機会均等法が適用され、すでに自治体の長にセクシャルハラスメント防止のための啓発や相談体制の整備、周知などの措置義務が課されている。
中野区では①市町村で要綱・指針案の作成、②職員向け啓発関係資料作成・制度周知等、③通報・相談窓口の設置、④研修の実施などについて、セクハラだけでなく他のハラスメント防止の取り組みについてもうかがう。

職場におけるセクシャルハラスメントの防止に関する基本方針を定め、これに加え2018 年2月には、パワハラや妊娠、出産、介護に関するハラスメントの防止について盛り込んだ中野区職場におけるハラスメント防止に関する基本方針を定めている。この基本方針に基づいて、ハラスメントに係る相談員等設置要綱を策定し、ハラスメント相談員とハラスメント苦情処理委員会を設置し、職員課と職員団体の窓口のほか、外部の相談窓口の設置、電話やインターネットによる相談ができる。管理職昇任者や希望する職員を対象にハラスメント防止研修の実施、ハラスメント防止リーフレット等により全庁的な意識啓発を行っている。


「男女平等」の課題は、法律や制度の上で一見「男女平等」となったように見える社会においても女性の社会的地位は低いままであり、根深い差別が残っている。多くの女性が非正規で働き、政治参加が遅れ、自由を阻害され、暴力にさらされ、その力を発揮することができていない。
ジェンダー平等社会をめざすとは、あらゆる分野で真の「男女平等」を求めるとともに、さらにすすんで「男性も、女性も、多様な性をもつ人々も、差別なく、平等に、尊厳をもち、自らの力を存分に発揮できるようになる社会をめざすということ。
男女平等基本条例の改正と男女共同参画基本計画の改定の際にはもちろん、あらゆる政策・施策にジェンダー平等の視点と取り組みを盛り込む必要がある。

ジェンダー平等を達成するための視点やとりくみは、あらゆる政策、施策に盛り込むべき考え方である。男女平等基本条例の改正に向けた検討を進める中で、必要な視点の検討と、現状を検証したうえで取り組み内容を再調整していきたい。

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